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睡眠時無呼吸症候群は“死なない”って本当?見過ごせない命のリスクとは

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「睡眠時無呼吸症候群は死なない」は本当?

「いびきがうるさいだけでしょ」「眠ってる間にちょっと呼吸が止まってるだけで、死にはしない」――
このように睡眠時無呼吸症候群(SAS)を軽く見る声は少なくありません。実際、病気を指摘されても「死ぬわけじゃないから…」と受診を後回しにする人も多いのが現状です。

しかし、それは大きな誤解です。
睡眠時無呼吸症候群は、自覚症状が少ない一方で、放置することで深刻な健康被害をもたらす病気です。「死なない」どころか、「命にかかわるリスクがある」と医学的にも報告されています。

一見すると無害に見える理由

睡眠時無呼吸症候群の怖さは、睡眠中に起きているため本人が気づきにくいことにあります。
睡眠中に何度も無呼吸(10秒以上の呼吸停止)や低呼吸(浅い呼吸)が繰り返されても、目が覚めた時には記憶に残っていないことがほとんどです。

さらに、症状として現れるのは「日中の眠気」「集中力低下」「だるさ」など、“死に直結する”とまでは思えないものが中心なため、「病院に行くほどじゃない」と自己判断してしまいやすいのです。

しかしその裏では、心臓や脳がダメージを受けている可能性があります。

見落とされやすい“静かなリスク”

以下のような事実が、睡眠時無呼吸症候群の「見えにくい危険性」を示しています:

  • 一晩に数百回もの無呼吸を繰り返すケースもある

  • 呼吸が止まるたびに血中酸素が低下し、心拍数や血圧が急上昇

  • 自律神経が乱れ、慢性的な高血圧や動脈硬化を招く

  • 無呼吸後に脳が覚醒状態になり、熟睡できない=体の回復が阻害される

つまり、見た目にはただ「よくいびきをかいている人」にしか見えなくても、体の内側では命にかかわる重大なダメージが蓄積している可能性があるのです。

放置すると命に関わる病気といわれる理由

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、一見「眠りの問題」だけに思われがちですが、実は全身の健康に深刻な影響を及ぼす病気です。特に放置することで、心臓・脳・血管といった命に直結する器官にダメージを与えることが明らかになっています。

ここでは、なぜこの病気が「命に関わる」といわれるのか、医学的な根拠をもとに解説します。

無呼吸による血中酸素の低下と心臓・脳への影響

睡眠時無呼吸症候群では、呼吸が10秒以上止まる無呼吸状態が一晩に何十回〜何百回も起こります。
そのたびに血中の酸素濃度(SpO2)は急激に低下し、体は「窒息状態に近い危険信号」を受け取ります。

この異常な状態に対し、脳と心臓は次のような反応を起こします:

  • 交感神経が活発化し、血圧と心拍が急上昇

  • 血管が収縮し、心臓に過剰な負担

  • 脳は覚醒状態に入り、睡眠が断続的に分断される

このような状態が毎晩続けば、高血圧・心不全・不整脈・脳卒中・糖尿病などのリスクが格段に高まります。

心筋梗塞・脳卒中・突然死との関連性

研究では、重度の睡眠時無呼吸症候群患者において、以下のリスク上昇が確認されています。

合併症 発症リスク(無呼吸患者 vs 健常者)
高血圧 約2〜3倍
心筋梗塞 約3倍
脳卒中 約2〜4倍
夜間突然死 明確な関連が指摘されている

実際、夜間の心筋梗塞や脳卒中の患者を調べると、高率でSASが存在していたという報告もあります。
また、無呼吸によって心拍が極端に遅くなり、徐脈性の突然死に至るケースもあり、まさに「死に至る睡眠障害」といっても過言ではありません。

このように、「死なない病気」と誤解されがちな睡眠時無呼吸症候群は、実際には見過ごすことで命にかかわる重大な疾患を招くリスクを孕んでいるのです。

睡眠時無呼吸症候群で実際に起きている深刻な事例

「睡眠時無呼吸症候群で命を落とすなんて…」と思う方も多いかもしれません。ですが、現実にはこの病気が原因または引き金となって死亡に至った事例が複数報告されています。
また、**日中の眠気による交通事故や労働災害といった“間接的な死”**も深刻な社会問題です。

海外や日本での死亡事故の報告

以下は、実際に睡眠時無呼吸症候群と関連して報告されたケースの一部です。

  • アメリカでは、SASが原因で夜間に心停止を起こした死亡例が複数報告されており、その多くが「未診断」または「治療中断中」だったことが明らかになっています。

  • 日本でも、睡眠中の突然死を起こした中年男性の解剖結果から重度の無呼吸が見つかった例があり、家族も異変に気づかなかったといいます。

  • 著名な俳優・プロレスラー・芸能人がSASによる心不全・心筋梗塞で急死した報道もあり、注目されるきっかけとなりました。

睡眠中に無呼吸が繰り返されることで、心臓や脳に致命的なダメージが蓄積され、ある日突然発症する…。これがSASの本当の怖さなのです。

日中の眠気による事故・過失のリスク

睡眠時無呼吸症候群のもう一つの危険は、日中の強い眠気によって起こる事故やミスです。

  • 居眠り運転による重大な交通事故

  • 建設現場や工場での判断ミス・転落事故

  • 医療従事者や運転士の業務中の意識低下

実際、交通事故を起こしたドライバーの中にSAS患者が多く含まれていたという研究もあり、社会的にも対策が求められています。

本人に自覚がないまま、無呼吸が原因で命を落としたり、誰かの命を奪ってしまうことすらある――それほど、この病気は静かで深刻なリスクを孕んでいます。

早期に気づき、治療すればリスクは大きく減らせる

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は「死ぬかもしれない」ほど危険な病気である一方で、適切な治療を受ければ、命にかかわるリスクを大幅に減らすことができるという点も重要です。
実際、SASと診断され治療を継続している患者では、心疾患や脳卒中などの合併症のリスクが大幅に低下することが報告されています。

主な治療法と効果(CPAP・マウスピース・減量など)

SASの治療には、症状の重症度に応じてさまざまな方法があります。

治療法 内容 対象
CPAP療法 睡眠中に鼻から空気を送り込み、気道の閉塞を防ぐ装置。 中〜重度のSASに効果的。
マウスピース(OA) 下あごを前に出すことで気道を広げる装置。 軽度〜中等度のSASやCPAPが合わない人。
減量・生活習慣の改善 肥満による気道の圧迫を軽減。アルコール・喫煙制限も含む。 軽度〜すべてのSASに有効な補助療法。

特にCPAP療法は、継続的に使用することで無呼吸がほぼ完全に抑えられ、日中の眠気や健康リスクが劇的に改善するとされています。

放置せずに検査・相談することの重要性

SASが疑われる症状がある場合、一人で悩まず、早めに医療機関を受診することが何より大切です。

次のような兆候がある人は要注意です:

  • 毎晩のようにいびきをかく

  • 夜中に何度も目が覚める

  • 寝ても疲れが取れない

  • 日中に強烈な眠気がある

  • 家族から「寝ているときに呼吸が止まっている」と言われた

現在では、自宅でできる簡易検査キットや、保険適用で受けられる**精密検査(ポリソムノグラフィー)**もあります。
「大したことない」と放置せず、早期発見・早期治療こそが命を守る第一歩です。

まとめと参考記事

「睡眠時無呼吸症候群は死なない」と思って放置してしまう人は少なくありません。しかしこの記事で紹介したように、実際には命にかかわる重篤なリスクが潜んでいる病気です。
無呼吸によって繰り返し低酸素状態に陥ることで、心臓・脳・血管に深刻なダメージを与え、心筋梗塞や脳卒中、突然死などの原因になることもあります。

また、自覚症状が少ないために気づきにくく、周囲からの指摘がきっかけでようやく受診する人も多いのが特徴です。
「ただのいびき」と軽視せず、次のような症状があれば早めの行動をおすすめします:

  • 毎晩大きないびきをかく

  • 日中の眠気が強い

  • 睡眠中に息が止まっていると言われた

  • 寝ても疲れが取れない

CPAP治療やマウスピース、生活習慣の見直しなどで、多くの人が症状を改善しています。
正しい知識を持ち、必要なら検査を受けて、「命を守るための一歩」を踏み出しましょう。


参考記事